日本水中科学協会

日本水中科学協会Japanese Academy of Underwater Sciences

4 資格確認基準

4.1 資格確認総則


4.1.1 資格確認の考え方

 1.1.7 資格確認の項を参照すること。
 スクーバダイバーになると言うことは、何が起ころうと、すべては、自分の責任であると宣言することでもある。自分の判断がまちがっていたこと、あるいは、自分の健康上の理由で事故が起こった時、誰かを責めることはできない。
 スクーバダイバーは、一人でも生き抜く自信を持たなければならない。自信は、過信ではなく、トレーニングが適切に行われていて、経験も積んでいることに裏付けられなければならない。
 トレーニングも経験も不十分であったなら、そして何よりも自信がなければ仲間に守ってもらう他ないが、もしもの場合には、家族があなたを訴えますよと宣言するならば、誰も守ってくれないだろう。
 しかし、自分自身の安全を確保する能力を確認しないで、自己責任を強いることは出来ない。自己責任で水中活動を安全に行うためには、そのダイバーの経験とトレーニング実績、(どのようなトレーニングを積み、現在もトレーニングを継続しているか)を判定する基準があり、判定を確認できる資格確認が必要である。

@どの程度の危険を回避できる能力持っているのか。裏付けとなる経験とトレーニング状況
A何ができるのか。活動の経験
 @Aを確認し認めることが資格確認である。

4.1.2 沿革

1967年、日本で初めての潜水指導団体、日本潜水会を結成した時の資格確認のランクは、
三級:練習生
二級:自分の責任でダイビングが出来る。
一級:身体的、技術的には、最高位でチームのリーダーができる。
準指導員:一級にプラスして指導する力があり、救急救助の能力が加えられる。 指導員:総括的な判断ができ、グループをまとめて、三級、二級、一級の判定をすることが出来る資格とした。

 水中科学協会でも、ほぼこれと同じ構成で、自分で自分の安全について判断でき、責任を負えるダイバーにならなければスクーバダイビングは危険であると言う考え方のもと、トレーニング基準と資格確認基準を定める。

4.1.3 活動ダイバーの資格確認ランク

ランクを次の三つに分ける
@訓練生:
フォーメーションの中で守られるダイバー
A活動ダイバー:
通常のダイビング活動において安全を確保して活動できるか否かの資格確認
Bリードダイバー:
通常のダイビング活動において、ユニットのリーダーシップがとれるか否かの資格確認

 資格確認の基準、許容活動範囲は各分野で若干の差があり、その呼び名についても異なるが、基本的には上の3段階である。
なお、資格確認はダイビングライフを通じてトレーニングを継続することが前提であるから、活動を休止した場合には再度トレーニングに参加するよう要求される。

 それぞれの分野のリードダイバーは活動会員、コーチと統括責任者は会員となり年会費を納めなければならないが、活動ダイバーの資格確認は(ミニマムなカード制作費と通信費)カード発行により行う。また、二年ごとの更新として、トレーニングが途絶していた場合、ダイビングを行っていなかった場合には、復活トレーニングを行い、統括責任者とコーチの認証で復活できるものとする。
※ 資格確認カードの期限は2年とする。

4.2 スポーツ・エキスペディション


4.2.1. 分野の説明

 エキスペディションとは、探検的な目標を持つ旅行、あるいは活動を意味する。レジャーダイビングの延長線上にあり、水中撮影(プロもしくはプロを目指す場合を除く)、生涯学習として、あるいは環境保全のための ボランティア活動としての水中探査(藻場調査、フィッシュウオッチング、無脊椎動物の趣味的な研究など、ただし、採集については特別許可が必要)、探検的な水中活動(沈船、地形、流れ、洞窟、)、環境保全活動(サンゴの保護、磯やけ防止のための駆除活動)など、目標を持って行うダイビング活動である。スポーツクラブ、大学のダイビングクラブ、同好会、海洋高校のダイビングクラブなどのグループ活動もこの分野に含まれる。
 目的・目標を持って潜水活動を行うが、この分野では、目標を優先せず安全第一であり、危険の可能性があれば、いつでも活動を中断あるいは終了しなければならない。
 目標を持つことによってバディは、離れやすくなり、フォーメーションも崩れやすくなるが安全を優先する。
 リードダイバーを中心にして5人程度のユニットを作り、ユニットが集まってクラブあるいはグループを形成する。
 バディ個別でも活動はできるが、ユニットを作った方が目標も達成しやすくなり、安全も確実になる。スポーツダイビングクラブ、職場のサークル、あるいはダイビングショップが運営するクラブなど、形態は千差万別である。

4.2.2. 訓練生 (Trainee)

キャリア(経歴)
@スタート資格
a)Cカードを取得していること
※2.3 トレーニング参加基準を参照。
b)スポーツ安全保険に加入し、DANの会員になること
c)健康管理については、本人の自覚が絶対条件であることを自認する。

A水深10m資格から20m資格と進級し、その間に習熟トレーニングを行い、トレーニング達成維持基準を満たせば、活動ダイバーの資格確認を受けることができる。

許容活動
Cカードを取得していれば、習熟トレーニングの中途であっても、チーム(フォーメーション)の中で、先任(先に資格確認されている先輩)の活動ダイバー以上の資格者にガードしてもらうバディを維持して水中活動が出来る。

4.2.3 活動ダイバー(Active Diver)

呼称 下記から選択する。
・活動ダイバー(Active Diver)
・エキスペディション・ダイバー
 Active Expedition Diver
・エキスプローラー Explorer

統括責任者とコーチが資格確認して協会に申請する。

キャリア(経歴)
@Cカード、もしくは同等の技能水準でトレーニングに参加していること。

A水深20m資格を達成し、実海域での積算潜水回数14回
プールトレーニングで達成維持基準に達していること。

B統括責任者の指定する学科テスト・スクリーニングを受けていること。
潜水士国家試験が望ましい。(サイエンスでは必須)

C統括責任者とコーチが、グループ内での潜水を評価して資格確認する。

Dプールトレーニングの達成維持基準に達しており、積算潜水回数30回以上で一般指導団体の中級に相当する資格確認を受けていれば、無条件で資格確認できる。

4.2.4 リードダイバー (Lead Diver)

呼称 下記から選択する。
・リードダイバー Lead Diver
・リードエキスプローラーLead Explorer

 ユニットのリーダーができる。ダイビング活動の中核であり、最終的にはユニット全員がリードダイバーになることにより、望み通りの活動が出来るようになる。

 統括責任者とコーチが資格確認して協会に申請する。

キャリア(経歴)
@経験潜水回数100回以上
A水深40mの深度資格
B達成維持基準を維持していること。
C潜水士の資格を持つこと。
D救急蘇生法の訓練を受けること。救急蘇生法は手技であるから、機会があれば、訓練を行うこと。
※ 大学のダイビングクラブであれば、3年生以上
E水中科学協会の活動会員になっていること。

許容活動
@フォーメーションのリードダイバー、その日のダイビングのリードダイバーができる。
Aユニットのリーダーになり、ユニットを編成出来る。

4.2.5.コーチ(Coach)

 インストラクターは、講習、体験ダイビングなどお客様を指導するスペシャリストであり、常時、行動を共にするコーチとは、役割がちがう。ただし、エントリートレーニングの結果として、Cカードの資格確認を望むメンバーも少なくないと考えられるので、三つ以上のユニットで構成するグループでは、一人以上の現役インストラクターが所属していることが望ましい。
 なお、コーチになるために、インストラクター資格確認を希望するダイバーについては、本協会に所属する指導団体のコースディレクターにより、それぞれの指導団体のインストラクター養成コースを開催することができる。

 呼称:コーチ、監督、セフティオフィサー(Safety Officer)など

 役割:
 @トレーニングの指導を行い、統括責任者とともに、活動ダイバー、リードダイバーの資格確認を行う。
 A現場(ダイビングサイト)で活動の指導および指揮を行う。

 キャリア(経歴)
 下記の条件、@ABのいずれかを満たす者の中から、統括責任者が選任する。
 @現役のインストラクター、またはインストラクター経験者(経験5年以上)
 AA級プロダイバーであり、該当する分野の知識を持つこと
 ※ただし、プロのダイビングとエキスペディションはスタイルが一変する場合もあるので十分に注意して、基準とマニュアルを理解し遵守しなければならない。
 B日本体育協会のスクーバダイビング指導者資格
 以下CDはどちらも必須の条件である。
 C水中科学協会の会員であること。
 D現状で、リードダイバーの実技能力があること。

監督
 監督とはコーチの形態の一つである。

 大学のダイビングクラブに監督を置くことを提案している。
 大学のクラブでは、1年生と2年生が現役で、3年半ばになると、学内のOBになってしまう。安全管理の経験が分断されてしまう。クラブ員と一緒に合宿などで指導し、相互理解ができる監督とコーチが必要である。現状では、子供たちだけの活動であり、父兄の心配を払拭するだけの管理体制がとれていない。

4.2.6 統括責任者 (Group Superviser)

 ユニットを集めたグループ、クラブは、大きなグループになれば、数十人から100名近くになる場合もある。グループの性格も一般ダイバーを集めるスポーツクラブ、職場のグループ、友人同士の集まり、ダイブショップが主催するクラブ、大学の潜水部、同好会、等様々であり、さらに活動目的や活動の分野も異なる。
 主催者がオーナーとなってダイバーを集める場合もあるし、代表者を選挙で選ぶ場合もある。長く存続してきた環境保全のためのグループやNPOもある。すでに長い歴史と会則を持っているクラブもあり、会則など作らないグループもある。  しかし、責任体制を確立するためには、グループが小さくても大きくても、まとめて行く責任者を統括責任者とし、技術的な指揮、指導を行う者をコーチとしてグループを編成する。

 呼称:統括責任者、Group Superviser、Group leader、会長(スポーツクラブ)部長(大学のクラブ)などの呼称から適切なもの選ぶ。なお、監督と兼任する場合には、監督でも良い。

役割
@グループを主宰統括する。(プロデューサー的役割である。)
※責任者と呼ぶが、生命を落としたり行方不明になる可能性のあるスクーバダイビングでは、その責任を負えるのは本人以外はない。
※インストラクターであっても良いが、インストラクターでなければいけないと言うことはない。
A基準とマニュアルを遵守させるように指導し教育することが、統括責任者の役割である。
※現状では、統括責任者を守る保険は無い。責任を負う統括責任者を、グループの全員で守らなければならない。
Bコーチのスカウティング、任命
※グループの中に適正なコーチが居ない場合には、外部に依頼しなければならない。コーチの選定および育成は、統括責任者の重要な仕事である。
※信頼できるコーチがグループに居るならば、統括責任者の潜水の実力は、低くてもかまわない。
Cコーチと協力してリードダイバー以下を資格確認する。

キャリア(経歴)

@正会員であり、理事会が承認すること。
※会員には誰でもなれるが、統括責任者は、承認が必要。
Aコーチが居れば(非常勤でも良い)自身がダイビングをする必要は無い。ただし、ダイビングについての知識は必要である。
B小グループであり、自身がコーチと同等のキャリア(経歴)を満たしていれば、コーチと兼任することができる。
※ コーチが居ない状態で、コーチの資格がない者は、統括責任者にはなれない。

4.3 サイエンス


4.3.1 分野の説明

 専門的知識と、研究に対する熱意をもっている研究者が、水中の調査、サンプリングなどのために研究のためのダイビングを行うことは、重要であるが、必要なダイビング実技と知識を持たずに、OW.Cカードのレベルでモチベーションの高い研究ダイビングを行っている実態は、薄氷を踏むようである。これまでにいくつかの事故が起こっているため、このままでは「危ないことは止めよう」という風潮から、日本の研究者の水中活動は逼塞してしまう可能性がある。

 安全を確保しつつ、研究者自身がダイビングを行う基準とマニュアル、そして、システムが必要である。
 サイエンスダイビングがスポーツ・エキスペディションと異なる点は、モチベーションが高いために、安全を優先しての引き返し、取りやめが難しく、実力以上の活動をする可能性が高いことである。リードダイバー以下は、資格確認ダイバーであっても上級者(リードダイバー、コーチ、ガイドダイバー、インストラクターなど)による直接安全管理が望ましい。
 ダイビングを行う研究者全員がリードダイバーになることが望ましく、水中研究に関係のある大学または学部のリードダイバートレーニング確立が必要である。

 サイエンス・ダイバーであっても、トレーニングが満足にできない状況であれば、レクリエーションダイビングと同様の安全管理の下で研究のための水中活動を行うことを勧める。ただし、この場合に、インストラクターやガイドダイバーを雇ったとしても、レクリエーションを対象にした賠償責任保険が有効であるか否かは微妙である。
 従来も研究者のダイビングにおけるガイドは、地元の潜水漁業者であったり、リサーチダイビング会社との共同作業であったりで、プロのダイバーが安全管理を行うことが多かった。この状態でも賠償責任保険はない。
 これまでも、これからも研究のためのダイビングは賠償責任を訴えることは出来ないと考えるべきである。全て自分の責任である。

4.3.2 訓練生

 キャリア(経歴)
@スタート資格
a)Cカードを取得していること
b)スポーツ安全保険に加入しDANの会員になりオプション保険に加入すること。
c) 規定の傷害保険に入っていること
d) 潜水士の資格を持つこと。
 ※スポーツ・エキスペディションでは必須ではなかったが、サイエンスでは、訓練生のうちに潜水士の資格を取ること。
e)健康管理については、本人の自覚が絶対条件であることを自認する。
A水深30m資格まで進級し、その間に習熟トレーニングを行い、達成維持基準を満たせば、サイエンスダイバーに資格確認される。

許容活動
@Cカードを取得していれば、習熟トレーニングの中途であっても、チーム(フォーメーション)の中で、バディを維持して科学調査活動が出来る。
Aバディは、先任(先に資格確認された先輩)のサイエンス・ダイバー以上の資格者にガードしてもらう。
B作業水深10m以上では、コーチ、もしくはダイビングショップのガイドダイバーとバディを組んでの直接安全管理が必要である。
この場合でも賠償責任保険は適用されない可能性が高い。

4.3.3.サイエンス・ダイバー Science Diver

資格資格確認基準
@30m資格を達成し、実海域での積算潜水回数18回
A統括責任者の指定する学科テスト・スクリーニングを受けていること。
 潜水士国家試験に合格していること。
B統括責任者とコーチが、グループ内の潜水を評価して資格確認する。

別途資格確認
Cプールトレーニングで達成維持基準に達しており、積算潜水回数40回以上で、潜水士の資格を持ち、一般指導団体の中級に相当する資格確認を受けていれば、統括責任者とコーチがグループ内の潜水を評価して資格確認できる。

許容活動
@サイエンス・ダイバーとのバディならば、リードダイバーの間接的安全管理の下で、フォーメーションを作らずにバディだけで研究調査活動ができる。バディシステム厳守。
A5人のユニットを編成出来ず、バディだけで研究活動を行う場合には、バディの一人はリードダイバーであること。

4.3.4 リード・サイエンス・ダイバー (Lead Science Diver)

資格資格確認基準
@サイエンス・ダイバーとして、3年以上or 経験潜水回数100回以上
A達成維持基準に達していて、技能維持トレーニングを続けていること。
B水中科学協会の活動会員になる。

役割
@研究調査活動の潜水でリーダーができる。
Aチーム(フォーメーション)の中でリーダーができる。
※水中での研究活動にかかわる研究者全員がリードダイバーになることが望まれる。

4.3.5 サイエンス・ダイバー・コーチ (Science Diver Coach)

AAUSでは、セフティ・オフィサーという呼称を使っている。

キャリア(経歴)
@研究調査の潜水経験10年以上、経験本数500回以上、潜水士の資格を持つ。
 or
A外部に依頼する場合には、インストラクター又はガイドダイバーの職歴があり、ダイビング経験10年以上、経験本数1000回以上、潜水士の資格を持ち、研究調査内容と技法について熟知していること。
 or
BA級リサーチダイバーで研究調査内容と技法について熟知していること。  統括責任者が選任し、日本水中科学協会の会員になること。

役割
@グループの指導・ダイビングサイトでの指揮を行う。
A統括責任者と諮って、サイエンスダイバーおよびリード・サイエンスダイバーの資格確認を行う。

4.3.6 統括責任者

呼称:統括責任者、Group Superviser、Group Leader
大学、研究所などの機関については、研究室の教官などが責任者となる形が予測される。
アメリカのAAUSなどでは、専門の職員を置いている。日本の現状では、専門の職員を置くことが困難である。各研究所、各大学で、最も安全が確立されやすい体制をつくることが望ましい。
 日本では、スクーバダイビングでは賠償責任の追求が通例になってしまっているので、責任者をバックアップする体制を強化する必要がある。

役割
@グループを編成する。
A基準とマニュアルを遵守させる。
Bコーチのスカウティング、任命。
Cコーチと協力、相談してリードダイバー以下を資格確認

キャリア(経歴)

@正会員であり、理事会が承認すること。
※会員には誰でもなれるが、統括責任者は承認が必要。
Aコーチが居れば(非常勤でも良い)自身がダイビングをする必要は無い。できなくても良い。ただし、ダイビングについての知識は必要である。
B小グループであり、自身がコーチと同等のキャリア(経歴)を満たしていれば、コーチが兼任することができる。

4.4 プロフエッショナル

4.4.1 分野の説明

潜水士テキストの「潜水業務の種類と内容」によれば、潜水業務は、
・漁業:
 海女、海士、タイラギ漁、追い込み網漁、定置網の補修など。
・水中建築・土木:
 水中測量、捨て石ならし、水中溶接、水中構築物の設置、撤去
・水中調査:
 環境調査、危険物探査、生物調査、海洋調査機器の設置・回収
・サルベージ:
 沈没船の調査、燃料流出防止処理、積み荷の回収、沈没船解体
・捜査・救難:
 犯罪証拠品の捜査、遭難者の捜索・救助
・軍事:
 機雷処分、海上自衛隊の潜水
・レジャー関連:
 インストラクター、ガイドダイバー
・その他:
 水族館などでの水槽清掃、船舶の船底清掃など

これらはすべてプロの潜水である。

これらの内で、もっぱらスクーバで行われる潜水は、
 漁業:追い込み網漁、定置網の補修
 水中調査:
 環境調査、危険物探査、生物調査、海洋調査機器の設置・回収
 サルベージ:調査部門
 捜査・救難:
・軍事:
・レジャー関連:
 インストラクター、ガイドダイバー
であるが、その他の送気式潜水機で行われる仕事も、現在では、デマンドバルブを使う、フーカー、フルフェースマスクが主流であり、その技術は、スクーバとほとんど同じである。
全てを包括して、プロフエッショナル分野とする。

1.3.2.プロフェッショナルで説明したように、上記の分野で、潜水の対価を請求し、あるいは請求し得るダイバーをプロフエッショナルとする。
サイエンスダイバーとプロの水中調査部門とは、潜水の内容としては重なり合う部分が多いが、プロの研究者としてのダイビングであればサイエンスダイビングであり、プロのダイバーとしての調査であれば、プロフエッショナルに入れる。

 なお、リサーチダイビングと言う言葉もスクーバによる調査潜水を指して多用されるが、プロフエッショナルダイビングの一分野である。

 危機管理については、ダイバー本人はもちろん、家族も周囲もその危険について熟知しており、危険を受け入れていることが必要。

4.4.2 訓練生

潜水会社での徒弟的な教育も行われているから、C−カードの所持は、関係がない。また、レジャーダイビングのインストラクターであっても、行うべき業務の経験が無ければ、訓練生である。
他の分野とことなり、訓練生であろうとも全て自己責任である。

プロフエッショナル分野のダイビングは、その講習であろうとも、賠償責任保険は、特別に付するのでなければ、適用されない。労災保険、普通傷害保険以上の補償は行われない。

4.4.3.B級プロダイバー

資格条件
現在、すでにプロの仕事をしているのだから、会員が関わっている会社からの申請で良い。経歴証明を行って自己申告をすることも出来る。
@3年以上のインストラクター又はガイドダイバーの経験があり、1シーズンプロの仕事に携わったもの。
※現状では、インストラクターやガイドダイバーがシーズンオフに、リサーチダイバー、作業ダイバーをアルバイト的に行っている例が多い。
or
A2年以上の潜水調査会社又は潜水作業会社の見習い期間修了。
※経験2年以内の事故が多いことから、3年我慢すれば一人前であると徒弟制度的な見習い期間をおく会社が多い。
B労災保険の加入
CDANの保険など任意の傷害保険加入

許容活動
@バディシステムを遵守して仕事としてのスクーバダイビングが出来る。ただし、送気ホースを使う潜水では、バディシステムの必要がない。

4.4.4 A級プロダイバー

資格条件
@水中カメラマン、調査会社のリサーチダイバー、作業会社の作業ダイバー、ガイドダイバー、インストラクター、定置網の調査潜水、フリーのプロダイバーなどで累計して10年のプロ経験があり、水深40m資格のトレーニング条件を維持していること。

許容活動
@サイエンスダイビング、スポーツ・エキスペディションダイビングでのコーチができる。ただし、リサーチダイビングのスタイルとは全く異なる部分があるので、基準とマニュアルの遵守について注意しなければならない。
Aソロ・ダイビングは原則として禁止である。しかし、実際の仕事では、ソロ・ダイビングで作業しなければならない事態が多々発生する。ソロ・ダイビングの安全管理、活動マニュアルの策定は、今後の検討・研究に待たなければならないが、その条件の一つとして、プロフェッショナルのA級リサーチダイバーでなければならないと言う項目が考えられる。

4.4.5 UPC(underwater Pro Cameraman) 水中プロカメラマン

 会員の推薦で会員になること、会員になった後、理事会の推薦でカードを発行する。
 自分の責任と判断で、水中撮影のためのダイビングが出来る。ソロ・ダイビングにおいても、自分の責任である。ただし、A級プロダイバー、及びA級ダイバーとは異なり、この資格だけでは、他の分野のコーチ、リードダイバーになることは出来ない。コーチ、リードダイバーになるためには、コーチは、それぞれ分野の資格確認基準を別に満たさなければならない。

4.4.6 サーチ&レスキューダイバー (S&R Diver)

 水面を泳いで溺者救助を行うライフセーバーはあるが、フィン・マスク・スノーケルを使って水中に沈んでいる溺者あるいはダイバーを救助する分野がない。
 ここで研究してダイビングによるサーチ&レスキューを確立したい。
 指導団体のレスキューコースとは異なるものであり、トレーニングも水面曳行、水中からの重量物引き揚げ、浮力体を利用しての、マウストゥーマウス人工呼吸、岸への溺者引き揚げなどハードにならざるを得ない。

キャリア(経歴)
@それぞれの分野のリードダイバー以上、または潜水漁業の経験5年以上、もしくはB級プロダイバーで、S&Rトレーニング基準を満たすこと。
A日赤水上安全法もしくは同等の救急安全法の資格を持つこと。
B生命保険、DANのオプション保険 に加入する。

許容活動
スキンダイビング、スクーバダイビングによる、ライフセービング活動ができるが、バディシステムは遵守しなければならない。水面のライフセーバーは、一人で、沖に泳ぎでることができるが、スキンダイビングのレスキューダイバーは、必ずバディで浮力体を持って泳ぎ出る。

4.4.7 A級ダイバー

資格
 理事会推薦、あるいは、自己申請して理事会の承認を得る。

@インストラクター、ガイドダイバー、潜水漁業、プロの調査ダイバー、水中カメラマン、など(どの分野でも良い)で、20年以上のキャリアがあり、現状でダイビングを続けていること。
or
Aレクリエーションダイバーでは、1000回以上のダイビング、20年以上のキャリアをもつこと。

Bいずれの場合も、技能維持トレーニングを毎月1回は行っていること。
v 活動範囲
 全てのダイビング分野で統括責任者となることができ、どのようなダイビングも自分の意志と責任で行うことができる。

A級OBダイバー
理事会推薦、申請して理事会の承認

資格
 A級の資格条件を満たしていて、現在ダイビングを行っていない者
活動範囲はA級と同じである。ダイビングを復活したければ、自分の意志と責任でトレーニングを開始すること。
 

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