日本水中科学協会

日本水中科学協会Japanese Academy of Underwater Sciences

5 トレーニングガイド

5.1 スキンダイビング


5.1.1 スキンダイビングを取り入れる理由

 スクーバダイビングは、泳げなくても出来るという考え方もある。
 一方では、泳げることがスキンダイビングを始める条件であり,スキンダイビングの上達がスクーバダイビングを始める条件であるという考え方もある。
 Cカード認定では、スキンダイビングとスクーバダイビングは、フィン・マスク・スノーケルを使うという点では共通であるが、全く別の活動だと考え、スキンダイビングの習熟を割愛している基準もある。

 スキンダイビングも状況によっては、スクーバダイビングとは別の危険な局面もあるから、スクーバのトレーニングにスキンダイビングを取り入れないというスタイルも一つの見識であり、それに反対するわけではない。しかし、息を止めて水中で活動できる、つまりスキンダイビング活動能力が、最終的にダイバーを救う可能性は高い。スクーバは、背中に背負っているタンクの空気が尽きるまでだけ水中で生きていられる。空気が無くなる、エア切れはスクーバの宿命のようなものであり、長くダイビングを続けていれば、何時の日か起こる。その時には息を止めて潜っていられる能力が命を救う。
 スクーバでは、バディから空気をもらうことができるが、バディシステムの維持は難しい。スクーバダイビングマニュアルの最大の目標がバディシステムの維持であるが、はぐれる可能性も大きい。またバディのエア切れも、自分と同時に起こる可能性もある。したがって、スクーバでどれだけ深く潜れるかは、スキンダイビング能力によってある程度決まる。
 もしも、水深20mまで潜れれば、その二倍、水深40mまで潜れると昔は言っていたが、水深20mまでのスキンダイビング能力を求めると、鼓膜の破損による傷害が多発する。エア切れの際に求められるのは、息をとめて、水中で活動できる能力であり、耳抜き能力ではない。水平に40m潜れれば、スクーバでも40mは潜れるとした。
 そのスキンダイビング限界以上に深く潜る場合には、絶対的にエア切れを起こさないように大容量のタンクを背負い、その他に脱出用のベイルアウトタンクを持つ。それでも、スキンダイビング能力と無縁ではいられない。タンクの切り替えや、バディから空気をもらうまでの時間を落ち着いて処理できるためにはスキンダイビング能力が要求される。
 水中科学協会での認定は、スキンダイビングのトレーニングが含まれる。  また、スキンダイビングは、スクーバトレーニングのためだけではなく、重いタンクを背負わずに身軽に移動でき、空気充填がままならない僻地や離島での活動もでき、行動も敏捷であることから、浅い藻場の調査、珊瑚礁の調査などには有効な手段であり、広く行われている。

5.1.2 スキンダイビング達成目標基準

 スキンダイビング達成目標基準は、すべての分野の実技認定において、達成されているべき基準であり、常に目標とする基準である。時間をかけてでも目標を達成する。達成されたならば、それを維持するトレーニングを続ける。達成維持基準は、達成目標基準とほぼ同じであり、やや簡略化したものである。

 競泳用のプールで行う。
 @ フィン・マスク・スノーケルを着けて滑らかな正しいフォームで水面を泳ぐ(400m)
 ※いくつかの泳法を試みる。ex.ドルフィンキック、横泳ぎ、背泳のスタイルなど。
 ※タイムを計測して泳ぐ。効率の良い泳ぎ方をして適切なフィンを使用すれば、泳ぐタイムは向上する。
400mの標準タイムは、
 初心者:10分
 認定基準:8分
 上級者:7分、
 競技としてのタイムは6分以下である。
 A水中を泳ぐ。水平潜水。
 25mを越える場合には、コーチが直近で見張る。原則として40mまでとし、50mを越える練習は禁止する。
 B水中を全速ダッシュで泳ぐ
水中をダッシュで泳ぐだけでなく、水中ホッケー、水中フリスビーなども、水中での身のこなし、水慣れのために有効であり、トレーニングに変化をつけることができる。
 Cマスククリアー
 マスククリアーの練習は、トレーニングの度に必ず毎回、難しくない形で行う。
 マスククリアーと水平潜水を組み合わせると、ハードなトレーニングを構成することができるが、行う意味がないし危険である。

 薦められるエキササイズ
a)マスクをなるべく遠くに投げて水平潜水でマスクを拾い、クリアーしながら泳いで25m付近で浮上する。
b) 水深3m(5mでも良い、使えるプールの深さによる)にマスクを落とし、クリアーして浮上する。

D水深3mから沈んでいるスクーバダイバーを引き上げること。
(リードダイバーは、水深5m)
E水深5m、できれば8mまでスキンダイビングで潜れること。
  (リードダイバーは、水深10m)

5.1.3 スキンダイビングの危険

 @実海域のスキンダイビングトレーニングは、スクーバダイビングと同等に危険であることを考慮しなければならない。
 一番おそろしいのは、鼓膜の破損である。鼓膜の破損そのものは、一週間もあれば破れが塞がるから重大ではないが、鼓膜の破損によって中耳に浸水した水によって平衡器官が冷やされて、平衡感覚を失って浮上出来なくなることである。
 実海域のトレーニングにおいて、常に潜っている水深よりも深く潜るトライをする場合には、必ず、潜降のための索を下ろして、それに沿って潜降する。平衡感覚を失っても索につかまり手繰れば浮上できる。
 また、バディシステムによる救助が重要であるが、沈んで行くスキンダイバーをスキンダイビングで追って行き引き揚げることは容易ではない。  A水深10m以上に潜る場合には、超換気による失神、シャローウォーターブラックアウトに充分に注意しなければならない。
 ブラックアウトについては、ダイビングの参考書、指導団体のマニュアルに詳しいので、必ず眼を通しておくこと。
 Bここで行うスキンダイビングトレーニングは、スクーバダイビングのための基本トレーニングであり、深さを競うものではない。
※深さを競う、アプネア、フリーダイビングなどは、特化したスポーツである。取り入れる場合には、専門のインストラクターの指導、指示に従って行わなければ危険である。
 C実状に応じて、監督及びコーチの判断に基づいて、活動水域と活動内容に応じたトレーニングプログラムと、達成基準を設定することも出来る。

5.1.4 スキンダイビング注意事項

ここで述べる注意事項は、スキンダイビングのみならずトレーニング全体にわたっての注意でもある。

@達成のために、強制を行ってはならない。出来なければ出来るまで時間をかける。水中活動では、たとえ浅いプールであろうとも、強制は事故の基になる。
Aコーチの役割は、個人個人の限界をチェックし、適切なアドバイスをすることである。強制することではない。コーチは随時、目標の達成度を確認しておく。  タイムの向上、水平潜水距離の向上、垂直潜降の深さ、フォームの上達などの達成目標は個人それぞれが自分の責任で目指すものであり、強制される目標ではない。
Bここでの記述は、標準的なプログラムであり、統括責任者が、変更することも可である。また、同等のプログラムで、グループで固有、常用しているものがあれば、それを使って差し支えない。以下、すべてのトレーニングで同様。ただし、太字の記述で、変更不可と書いてある事項については、変更してはならない。
C昨日よりも今日、前回よりも今度の回は、より深く、より長くと、トレーニングのグレードをあげると、限界を超えて事故が起こる可能性がある。これまで、そのような形の致命的な事故がいくつか起こっている。限界を定めて制限しなければならない。
D毎度、トレーニングを行う直前に、ブリーフィングを行って、トレーニングの手法と要領を説明し、なぜ限度を越えることが危険であるかを説明する。競技スポーツのトレーニングとちがうところは、統括責任者、コーチの役割は、より深く、より速くではなく、限界を設定し、限界を越さずに、健康と技能を促進し維持することである。

5.1.5 フリーダイビング

一般のスキンダイビングでは、水深10m、水平潜水距離50mを越えるべきではない。耳抜きに失敗する障害、水面に浮上する際に意識を失うシャローウォーターブラックアウトの可能性がある。
 水深10mを越えて、30m、50mを目指すことは、別のチャレンジ活動であり、ヨーロッパではアプネアと呼ばれ、その別名がフリーダイビングである。

5.2 スクーバダイビング


5.2.1 スクーバダイビング達成目標基準
 スクーバダイビング達成目標基準は、すべての分野の実技認定において、達成されているべき基準であり、習熟トレーニングでも技能維持トレーニングでも、常に目標とする基準である。時間をかけてでも目標を達成する。達成されたならば、達成維持基準を維持するトレーニングを続ける。

基本的にはプールでトレーニングを行うが、適切なプールが使えない状況では、実海域で行わざるを得ない。

実海域の場合
 水深は10m以内、できれば5m以内
 透視度は、8m以上
 波浪、流れは無い。

@スクーバの組み立て・装着が一人で確実にできる。
 1)バディの助けを借りず、自分一人で行うこと。
 2)高齢者の場合には、タンクを背負う装着はバディの助けを借りる。
 3)トレーニングでは、一人で確実に出来るようにするが、現場ではできるだけ助け合い、チェックもしあって、ストレスを少なくし、体力の消耗を防ぐ。
 4)タンクを頭上に振りかぶるような装着方法は望ましくない。

A水面に浮かせたスクーバを水面で背中に背負い装着する。水面でスクーバを外し、再び装着する。

B潜降、浮上、水面下での停止が確実にできる。
1)水面から、前傾姿勢、フットファーストで潜降する。
2)スクーバから呼吸して、水深3mまでヘッドファーストで潜降し、水深3mの位置で身体を立て、以後はフットファースト、足を下にした前傾姿勢で潜降する。
 ※1)と2)のウエイトの差を比較する。
3)水深10mから水深5mまで30秒で浮上する。
4)水深5m−3mの間で、3分間静止する。
 ※最近ではこの3分間泳ぎ回った方が良いとする説もある。
5)水深5mから20秒で水面に浮上する。水深1.5m点で、一時停止する時間も含める。
 ※ 潜降浮上の練習は、確実に出来ると見極めるまでは、コーチ、リードダイバーが付き添って一緒に潜降、浮上を行う。変更不可基準
 ※ 水に慣れていない(水中でリラックスできない)初心者の事故で恐ろしいのは、呼吸を止めた状態で浮上した場合の肺圧外傷である。

C水中で中性浮力停止ができる。プールもしくは実海域で行う。
手足を動かさず、BC.のインフレーターホースに触らず、自分の好む姿勢、例えば前傾姿勢、水平姿勢で10秒間完全に静止する。

Dバディブリージングで水平に25m泳げる。(水深1.5m以内)
※ バディブリージングでの垂直浮上訓練は行わない。
※ バディブリージングができれば、オクトパスブリージングはできるので、オクトパスブリージングは行わなくてもよいが、バディブリージングの前段階として、オクトパスブリージングを行っても良い。

Eエアーステーション (緊急スイミングアセントのシミュレーション)(水深1.5以内)
※エアー切れが起こった時、又はレギュレーターの故障などで空気の供給が停止した時、肺に残った空気で水面まで上がらなければならない。生き残る確度はスキンダイビング能力に大きく左右されるが、落ち着いて通常のように浮上できるように、空気の止まった状態で浮上するスイミングアセントと呼ぶトレーニングが行われる。
しかし、このトレーニングは、肺の圧外傷を起こす可能性もあり、また、急浮上は、減圧症のおそれもある。

垂直緊急浮上のトレーニングは行わないで、水平方向でシミュレーションをする。
このトレーニングも1.5m以下の水深で行う。変更不可
1)プールの底に複数のスクーバセットを適切な間隔で置き、これをエアーステーションとして、水平潜水で、往復あるいは巡回する。
2)スクーバから離れる時には必ずバルブを閉じること。
3)スクーバ間の水平潜水では、必ず息を少しずつ吐き出して、次のスクーバに到着する時には、概ね吐き出した状態で、マウスピースをくわえ、バルブを開いて呼吸を開始する。この息を吐き出すことがスイミングアセントの訓練になっている。

F水中脱着が確実にできる。(水深1.5m以内)
 水中脱着は、スクーバ器材の水中での操作、水中での浮力の抑え方、裸眼に慣れるなど水なれの総仕上げ的なトレーニングである。一度出来ても、しばらく練習しないうちに出来なくなってしまう。一年に一度は、徹底的に練習して、常に確実に出来るようにしておく。
 ※失敗して急浮上すると肺圧外傷のおそれがある。水深1.5m以上で行ってはいけない。変更不可
 ※出来うる限り、プールを使用して練習する。
 1)水底に足を前に投げ出す形で座る。立てひざでは、水深1.2mではタンクを外す時、着けるときに振りかぶれない。
 2)ウエイト、フィンを外して、タンクを脱ぎ、マスクを外し、タンクのバルブを閉めて立ち上がる。
 3)足から沈むように潜ってタンクの下に身体を滑りこませ、タンクとウエイトを身体の上に載せ、バルブを開いて呼吸し、マスクをクリアーし、フィンを履き、ウエイトを着け、タンクを背負って完了。
 ※脱着の手順は、それぞれの工夫でも良いが、必ず全部を脱着する。

5.2.2 潜降浮上 中性浮力

 これまでスクーバダイビングの講習を受けたことのない初心者の潜降浮上には、コーチかリードダイバーが目を離すことなく、手を差し伸べれば、浮上を差し止められる位置で直接安全管理を行わなければならない。
 Cカード保持者である訓練生については、潜降浮上が適切にできるかの確認だけを行えばよく、直接管理は必要ない。

 以下は参考である。

 潜降は、まず潜降索を伝わって、耳抜きを試すが、スキンダイビングで、水深3mに潜れるようになっていれば、耳抜きの練習は必要ない。
 水深1.5mで、水底に身体を横たえ、フィンの先端を軸のようにして,身体を斜めに浮かせるようにBCDに空気を注入し、呼吸で浮力を調整するフィンピボットという練習をする。

 潜降
 身体が浮く程度にBCD.に空気を入れて、身体の力を抜くと、前傾姿勢、水平姿勢と立位の中間になる。そのままの姿勢で、インフレーターを上に挙げて、空気を抜き、同時に息を吐き出すとそのまま沈んで行くようにウエイトを調整しておく。3mほど沈むと潜降速度が速くなるので、空気を小刻みに注入して潜降速度を調整する。そのまま海底まで降りるが、海底に足を着けずに、海底から50cmぐらい上方に静止するように空気を注入し、浮くようならば空気を抜く。そのまま前傾姿勢を保ったまま、静止できれば、これが中性浮力である。海底の泥を巻き上げて、周辺を濁してしまうから、フィンキックはしない。そのまま水平姿勢になり、フィンを緩やかに動かして、進む。海底の泥を巻き上げないように、膝を軽く曲げて、上方に向けてキックする。
 初心者は、海底にソフトランディングして、フィンピボットで浮力調整の練習をしても良い。

 浮上
 身体を立てれば、BCD.の位置が高くなるので,少しずつ浮上する。50cmも上がれば水圧が減少するだけ浮力が増すので、浮上速度がさらに速くなる。速くなりすぎたらBCD.の空気を少し抜く。浮き上がらないようならば、ほんの少し空気をBCD.に注入する。原則として、フィンキックはしない。浮上するほどに、加速度的に浮上速度が速くなるから、BCD.の空気を少しずつ抜きながら浮上する。上達するまでは、フィンキックで浮上しないように心がける。水面を仰ぎ見るようにして気道を開放し、息が詰まって肺が過膨張しないように注意しながらゆっくりと浮上する。自分の吐き出した一番小さな泡を追い越さないようなつもりで浮上する。水面下1mで浮上が停止するように、空気を抜く、水面に近づいて沈み始めた場合には、ゆっくりとフィンキックをしても良い。
 潜降、中性浮力、浮上の方法は、これだけではない。どのやり方でも良いから、浮上速度が速くならないように、できるだけフィンキックはしないように、水面に出る1−2m手前で一旦静止してから浮上するようにする。練習を重ねてスムースに出来るようにする。

5.2.3 フリーアセントとコントロールアセント

 フリーアセントは、海底でタンク(BCD)ウエイトベルトをぬぎすてて、空身で、フリーで浮上する緊急時の浮上方法の一つである。水中脱着のトレーニングは、このフリーアセントのためだけのものではないが、達成維持基準に達していれば、脱ぎ捨てるのは容易である。ほんの10秒もかからないはずである。そのまま、特にフィンで蹴ることもなく、ウエットスーツの浮力と身体の浮力によって、浮上する。
 なお、このフリーアセントの練習はしない。代わりに、エアーステーションを行う。
 プールなど水深1.5mの水底にタンクにウエイトを着けて浮き上がらないようにして置き、スキンダイビングで潜り、このタンクから呼吸する。タンクは二箇所もしくは三箇所に置く。タンクから二回呼吸したら、バルブを閉めて別のタンクに移動する。別のタンクで二回呼吸したら、また別のステーション(タンク)に移動する。垂直方向のフリーアセントのシミュレーションとして、危険のない水平移動に置き換えた練習であるから、タンク間の移動は、口笛を吹くように少しずつ息を吹き出し、肺の中の空気が半分ぐらいになっている感じで次のステーションに到着するように練習する。言うまでも無く、水面に浮き上がって顔を出してしまえば失敗である。

 コントロールアセントは、タンクを脱ぎ捨てること無く、レギュレーターのマウスピースを口から放し、胸の位置にキープして、上を見上げるようにして、普通の浮上のようにBCDの空気をコントロールして浮き上がる。
 Cカード講習では、フリーアセントの練習は省略してもコントロールアセントの練習はする例が多いが、スキンダイビングとエアーステーションの練習を行えば、ことさらにコントロールアセントの練習をする必要はない。当然、すでにCカードを持っている訓練生にこの練習をさせることもない。
 講習中の事故というのは少ないが、その少ない事故の中で何例かが、この緊急浮上のシミュレーションで起こっている。事故が起こったことのある練習種目は排除して、別の練習に置き換える。何万回かの緊急浮上練習で数回起こった事故であろうが、排除した方が良い。
 実際にエア切れを起こすと、フリーアセントもコントロールアセントも無い、ひたすら水面の空気を目指す。その時に息を止めたら死ぬとわかっていても、肺は空気を求めて痙攣する。スキンダイビングの能力と、エアーステーションの練習で息を吐き出しながら泳ぐ感覚になれていれば助かる。
 普通の浮上の時に空気が来なくなったことをイメージして、息を吐きながら垂直移動する感覚をつかむようにすれば、コントロールアセントに置き換えることが出来る。

5.3 トレーニングの場所・施設


5.3.1 プールトレーニング

 スクーバダイビングのためのスキンダイビングトレーニングとスクーバのトレーニングは、水深1.2mのプールで、その80%までを行うことができる。
 現在の日本では、泳ぐ練習ができる温水プールがない地域はないが、そのほとんどのプールで、スキンダイビングは許可されない。毎日クロールで1000m泳ぎ、平泳ぎで500m泳ぐとか、すなわちフィットネストレーニングでスキンダイビングトレーニングを補うことになる。
 しかし、フィットネストレーニングでスキンダイビングトレーニングをすべて代替えすることは出来ない。フィットネストレーニングを続けながら、海に出掛けたときにスクーバダイビングの練習の前にスキンダイビングを練習するとか、スキンダイビングツアーに行くとか工夫をこらして、それぞれのプログラムを組み立てる。

5.3.2 実海域実習

 低い難度の海域を選んで実習を行う。
 海況の難易度判断の項を参照。

 一般にビーチエントリーよりもボートダイビングのほうが難しいと思う傾向があり、ボートダイビングの特別コースを設定している団体もあるが、海域が静かならば、ボートダイビングの方が、フィジカルなストレスは小さく、安全性も高い。
 実海域のダイビングで、最も身体的なストレスが大きく、脈拍、血圧が高くなるのは、ビーチからのエントリーとエキジットであり、特にエキジットのほうがストレスが大きい。

5.4 理論と基礎知識


5.4.1 潜水士国家試験

 理論、基礎知識は、テストという関門をくぐり抜けなければ、殆どの人は覚えない。公的なテストのある基礎知識講習としては、潜水士の受験準備講習と、潜水士国家試験がある。
 サイエンス、レスキュー、プロフェッショナル分野については、認定に際して、潜水士の資格取得を必須条件にしている。スポーツ・エキスペディションについても、理論と基礎知識の徹底という意味で取得が望ましい。
 ただし、潜水士のテキスト、およびその国家試験は、主として送気式の作業潜水を対象にしている。また、国家試験という性格上保守的であり、最新の技術と知識については、かなりの不足部分がある。不足を補う講習、補う参考書が必要であろう。

5.4.2 スクリーニング

 潜水士の国家試験に合格して、潜水士になっても、実際のスクーバダイビングについての、知識、適性などについて、学科講習および、学科についてのテストを行って知識の確認を行わなければならない。
 指導する統括責任者・コーチが選定したテキストによって、個人レッスンの形で行って良い。潜水士のテキストと、実際のスクーバダイビンの差異を説明する形で行っても良い。  

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